アルスラーン戦記

アルスラーン戦記の最終巻を読みました。

かつては新刊が出るたびに一巻から読み返したりもしたものだが、ここ数巻はそのような気力もなく、ただ読むのみ。中断期間が長かったので、数々の登場人物達の活躍も性格も大分わすれてしまった。伏線の存在も朧気にしか思いだせず、物語内部の論理が整合しているのかどうかを考えることすらできない。只々、強引に回収される伏線を受け容れるしかできない。そのなかで、報われずに死んでいく登場人物に同情を感じ、また、12歳の頃から読み続けて39歳になったこれまで流れた時間にも思いを馳せて、これほど時間をかけてこの様な虚しい結末をえるのか、と悲しくなった。アルスラーン派の人物らは概ね悔いなく死んだような描写だったが、私の気持ちはヒルメスギスカールを合わせたような虚しさ悲しさがある。読了までに流れた27年の歳月があればこそ、この感情が湧き上がってくるのだと思う。

私は、魔軍襲来以降の出来は良いとは思わないが、完結させてくれたこと自体は、作者にお疲れ様といいたい。作者がこの物語にこの30年どのような気持ちで向き合ってきたのかを正直に語ってくれるのであれば聞いてみたい。作者を非難する意図はない。ただ、それを聞くことができるなら、この悲しさを少し理解できるのではないか、と思うから。

私は死んだことはありませんが、一瞬、走馬燈のようなものが見えました。おそらく、角川文庫時代から読んでいる方々には、独特の読了感が去来しているのではないかと想像しています。

皆さんお疲れさまでした。